10月27日、東京国際フォーラム開催された第57回民間放送全国大会で、第5回日本放送文化大賞のグランプリ審査結果発表と表彰式が行われ、ラジオ部門グランプリにノミネートされた7作品から、中国放送が制作した
日本放送文化大賞は、日本民間放送連盟(民放連)が、会員各社で質の高い番組がより多く、制作・放送されることを促すことを目的に、2005(平成17)年にスタートしたもので、 "視聴者・聴取者の期待に応えるとともに、放送文化の向上に寄与した"と評価される番組を顕彰し、ラジオ、テレビそれぞれにグランプリ1番組、準グランプリ1番組を選定するものです。
タイトル:「63年目の新聞記者〜35歳の女性記者を取材して〜」
【番組内容】
広島に本社を置く中国新聞社の原爆報道で、最前線に立つ35歳の女性記者、森田裕美さん。入社前は、原爆や平和に対して特に強い関心があったわけではないが、いまや同社の原爆報道で中心的な立場の一人となり、連載記事も数多く手がける。
森田記者は被爆者の生の声を地道に聞き取り続け、原爆がもたらした人的被害を後世に伝えることで核兵器廃絶を訴える一方、取材対象となる被爆者の高齢化、若年層の新聞記事への無関心、そして日米安保条約のもと、核の傘に守られながら核兵器廃絶を主張する矛盾といった様々な壁に向かい合っている。
番組では、原爆投下から63年目を迎えた2008年の夏に、様々な壁と向き合いながら取材活動を続ける森田記者に密着し、ブルース・スプリングスティーンの楽曲に乗せ、今日の原爆報道が抱える課題や今後の在り方を示唆する。
【中央審査・審査講評】
ラジオ番組を制作する立場であるディレクターが、新聞記者の取材に同行する様子を伝えるという構成が新鮮。様々な悩みや矛盾を抱えながらも使命感を持って原爆報道にあたる新聞記者の姿に、戦後60年以上が経過した今日の原爆報道の在り方、さらには後世への戦争の伝え方をあらためて考えさせられる。
難しいテーマだが、臨場感あふれる取材音源や、ディレクターの素直な語り口で聞きやすい。さらに、番組内容とマッチした巧みな選曲や、取材者としてのディレクターと聴取者との一体感を崩さぬよう、原爆の解説や事実関係の説明は別のアナウンサーが担当するなど、きめ細かな演出も高く評価される。
【スタッフ】
徳光国弘(プロデューサー) 城 雅治(ディレクター)
【出演者】
森田裕美、江種則貴、平岡 敬
【放送日時】
2008年8月16日(土)16:00〜17:00
[再放送]2009年12月13日(日)16:00〜