2009 広島大学・中国放送共同制作番組 広島大学テレビセミナー・ラジオセミナー

広島大学テレビセミナー1「大学病院は今」
 広島大学病院は、広島の急性期の医療の中心です。さらに、日々色々な新しい治療法を開発するための研究や、医学生・看護師などの教育・育成にも努めています。最近、大学病院では教授が交代したり、新しい診療科ができたりして顔ぶれが少し変わりました。また、研究や治療で新しい話題が生まれた診療科もあります。そんな大学病院の中から、今年は新しく着任し、張り切っている4 人の教授を紹介し、「大学病院は今」をお送りします。
急性期:病気が起こったばかりで症状が刻々と変化し、その間に適切な処置をしないと病気が悪くなってしまう。症状が急に発症し、その進行が速い時期。迅速な対応が要求される。
茶山 一彰(ちゃやま かずあき)究研合総学薬歯医[科(医)教授]

<放送のご案内>
  第1回 第2回 第3回 第4回 放送時間
放送日(毎週土曜) 10月3日 10月10日 10月17日 10月24日 午前5時15分−5時45分
再放送(毎週日曜) 10月4日 10月11日 10月18日 10月25日 深夜2時30分−3時00分

再々放送(火・水曜)

12月22日 12月22日 12月23日 12月23日 午前4時30分−5時30分
※放送時間が変更になることがありますのでご承知おき下さい。
※放送時間の「深夜」は月曜早朝のことです。
聞き手:和佐由紀子

第1回 移植外科の歴史と取り組み  
大段 秀樹(おおだん ひでき)[医歯薬学総合研究科(医)教授]

臓器移植は、末期臓器不全に対する根治療法です。肝臓移植は、劇症肝炎、肝硬変や肝細胞癌などに適応されます。広島大学病院では1991年から生体肝移植を開始し、その豊富で確かな実績から2003年に脳死肝移植施設の認定を受けています。また、腎臓移植と膵臓移植の認定施設でもあり、腎臓移植は慢性腎不全、膵臓移植はT型糖尿病に適応されます。臓器移植が必要な患者さんに、最も安全で治療効果の高い医療を提供するために取り組んでいる基礎研究などについて紹介します。

第2回 放射線治療によるがん克服を目指して
永田 靖(ながた やすし)[医歯薬学総合研究科(医)教授]

日本人の死因の1位はがん。その対策は医学における重要課題です。手術療法や抗がん剤治療とともにがん治療において中心的役割を果たしている放射線治療は、体への負担が少なく、多くのがん患者さんに安全に用いることができます。さらに、近年の画像診断技術やコンピュータ技術の進歩により、精密に照準を合わせた放射線治療が可能となりました。質の高いがん治療の実現に向け、強度変調放射線治療や定位放射線治療など最先端の研究成果を臨床に応用した活動を紹介します。

第3回 リウマチ治療の最前線
杉山 英二(すぎやま えいじ)[大学病院(医)リウマチ・膠原病科教授]

関節リウマチは関節に慢性の炎症をもたらす病気で、日本で約70万人が罹患していると推定されています。進行すると 関節の破壊が起こり、その機能が損なわれるため、多くの患者さんは不自由な日常生活を余儀なくされています。これまでに 効果のある薬はありませんでしたが、近年、炎症性サイトカインの働きを押さえる生物製剤が開発され、その優れた効果が明らかになりました。また、早期診断に有用な検査も開発され、リウマチ治療は大きな変革の時期を迎えています。関節リウマチでは、なぜ関節破壊が起こるのか、症状の特徴そして生物製剤の有効性とその問題点について紹介します。
サイトカイン:サイト(cyto)は「細胞」、カイン(kine)は「働く」という意味で、サイトカイン(cytokine)とは、さまざまな細胞と細胞の間で働く物質。

第4回 世界最先端の低侵襲治療(痛みや出血などをできるだけ少なくする医療)を目指して 
松原 昭郎(まつばら あきお)[医歯薬学総合研究科(医)教授]

広島大学病院泌尿器科では、早期回復を目指した世界最先端の低侵襲治療の開発・導入に力を入れています。前立腺がんに対して会陰(肛門と陰のうの間)から小切開で前立腺を摘除する手術はその代表例です。体に負担が少なく、術後、尿失禁も軽い優れた方法ですが、これを行える施設は世界的にも僅かです。腹腔鏡手術は1991年に開始、独自に工夫を重ねながら発展させ、その手術件数は500件を超えました。最近普及しつつある子宮脱や膀胱りゅうに対する膣式メッシュ手術を含め、これらの最先端治療を紹介します。