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放送日(毎週土曜) | 11月10日 | 11月17日 | 11月24日 | 12月1日 | 午後9時−9時30分 |
※放送時間が変更になることがありますのでご承知おき下さい。 |
アメリカが原爆投下を決定するに至る過程に注目します。ポツダム会談の最中に原爆実験が成功し、大統領トルーマンは原爆が戦後世界を指導するための切り札だと確信します。そして、人間が生活している大都市で実験することによってその威力を試し、世界に示そうとします。そのためには、原爆投下前に日本がすぐ敗北するようでは困るので、戦争終結を早めるどころか、意図的に終戦を遅くしたのです。
当初、原爆投下目標の第1位は京都でした。それは、人口100万人を擁し、原爆の人体実験に最もふさわしかったからです。しかし、アメリカは京都を破滅に追い込むことは、日本人の反米感情を強め、戦後の関係にとって不都合だと判断し、人口35万の広島を第1目標にしました。したがって、広島が選ばれたのは、明らかに人体実験に京都に次いでふさわしい場所だったからにほかなりません。
原爆投下はまさに人体実験のために行われたものであり、それ自体を正当化する理由は全くありません。しかし、非戦闘員を含む住民を無差別に殺戮する戦略爆撃を確立したのは、日本海軍による重慶に対する爆撃でした。原爆投下も戦略爆撃の一環だとすると、日本はその歴史に重大な責任を負っています。その自覚がなければ、東アジアの人々に原爆の被害の悲惨を理解してもらえるとは思えません。
アメリカは原爆を使用しないで、日本を降伏させる選択肢を持っていました。歴史にifは禁物かもしれませんが、もし原爆を使用しないで戦争を終結させたならば、果たして今のような核軍拡が行われたでしょうか。少なくとも核保有国が不拡散を呼びかけるという矛盾は回避できたのではないでしょうか。その意味で、アメリカの原爆使用という決断は極めて重大であり、その事を深く反省することが核廃絶の一歩になります。