2007 広島大学・中国放送共同制作番組 広島大学テレビセミナー・ラジオセミナー

広島大学テレビセミナー1 「社会生活で転ばぬ先の法律知識」
聞き手:吉田幸 皆さんは、これまでの社会生活の中で、法律問題に直面して困ったという経験をお持ちではないでしょうか。ご自分はそのような経験がなくても、友人や知人が法的なトラブルに遭ったという人は案外たくさんおられるのではないでしょうか。
このセミナーでは、現代の社会で一般の人々が出会う可能性がある法律問題の中から、交通事故、消費者契約上のトラブル、消費者金融の3つの分野を取り上げます。各回に問題を一つずつ取り上げて、各法律問題の中身をやさしく説明して、実際に皆さんがそれぞれの問題に遭遇した場合に、どのように対処すればよいのかを考えていきたいと思います。「法律は難しいから、できるだけ関わりたくない」と思っておられる方も、このセミナーをご覧いただけば、法律に対する見方が変わるのではないでしょうか。
<放送のご案内>
  第1回 第2回 第3回 第4回 放送時間
放送日(毎週土曜) 10月6日 10月13日 10月20日 10月27日 午前5時15分−5時45分
再放送(毎週月曜) 10月8日 10月15日 10月22日 10月29日 午前2時25分−2時55分

再々放送(火・水曜)

12月25日 12月25日 12月26日 12月26日 午前4時30分−5時30分
※放送時間が変更になることがありますのでご承知おき下さい。
第1回 法のしくみと民事紛争の解決

田邊 誠(法務研究科 教授) 皆さんは、憲法をお読みになったことがあるでしょうか。民法や刑法などの法律はどうでしょうか。憲法と一般の法律とは、どう違うのでしょうか。セミナーの第1回では、法律問題について考えるこのセミナーの入り口として、憲法をはじめとする日本の法のしくみを説明するとともに、第2回以降で取り上げる法律問題、とりわけ民事上のトラブルは、誰によって、どこで、どのように解決されるのかについてお話しします。

第2回 交通事故と法

大西 邦弘(社会科学研究科 准教授) ひとたび交通事故が発生すると、加害者には、行政上の責任・刑事上の責任のほか、被害者に生じた損害を賠償する責任が生じます。ここでは、その根拠となる自動車損害賠償保障法3条の「運行供用者責任」と、民法709条の不法行為責任に焦点を当てて説明します。また、加害者が賠償すべき金額は、具体的にどのようにして算定されるのかについても検討します。このようにして、市民の身近に発生し得る交通事故の事案を通して、法による救済について考えます。

第3回 消費者保護と法

堀田 親臣(社会科学研究科 准教授) 現代社会においては、日常生活の中で多くの消費者問題が生じています。実際に生じる消費者問題は非常に多種多様で、トラブルに巻き込まれた消費者の悩みも多岐にわたります。このような消費者の保護を考えるにあたっては、まず、消費者問題の現状を把握して、消費者保護のためにどのような法制度が用意されているかを知る必要があります。そこで、今回は消費者保護法制の変遷を概観した上で、最高裁判所で最近、判断が下された具体的な事案(学納金返還訴訟など)を例に、民事法の分野における消費者の保護を考えていくことにします。

第4回 利息の制限と法

鳥谷部 茂(社会科学研究科 教授) 最近、消費者金融に関わる多重債務者・自殺者が増加し社会問題化した結果、昨年末には利息制限法などが改正され、3年を目途に施行されることになりました。これまでにも、不当な取立てや自殺者増加など、サラ金問題をめぐっては、たびたび法改正が行われてきましたが、昨年の法改正の結果、利息の制限に関する法の仕組みは一層複雑になりました。ここでは、利息制限法、出資取締法、貸金業取締法などの主な法律の内容、裁判例の推移、法改正の経緯を明らかにして、市民にわかりやすい利息の制限のあり方を考えます。