2000年11月23日(木・祝)午前10時30分放送 55分番組 |
元・大久野島毒ガス資料館館長の村上初一さん(74歳)は、語り部として、全国から修学旅行などで訪れる小中学生らに毒ガスの恐ろしさを伝えつづけている。 20世紀のはじめ登場した化学兵器は、たくさんの敵を効率よく殺すための大量殺戮兵器として開発された。広島県大久野島で製造された旧日本軍の化学兵器(毒ガス)は、中国大陸などアジアの戦場に運び込まれ、8万人以上を殺傷したという。 そして今20世紀の終わりになって、大久野島で製造された旧日本軍の化学兵器(毒ガス)が中国に大量に残されていることが明らかになった(遺棄毒ガス問題)。それは地雷のように、戦争が終わった後も中国の人々を殺傷し、環境破壊を引き起こしている。その数は70万発とも200万発ともいわれ、日本政府は2007年までに回収、処理することを約束しているが、今の科学技術では毒ガスを無毒化することはできず、処理工場建設のめどもたっていない。 番組では、今年9月に中国黒龍江省で行われた日中合同の遺棄化学兵器回収作業の様子などをまじえ、半世紀前に日本が行った毒ガス製造が現代社会にもたらしているさまざまな問題を検証。20世紀の教訓として、どのように次世紀に活かしていけるかを考える。 |