あの日から55年、戦争の世紀と呼ばれた20世紀最後の‘原爆の日’を迎えようとしています。当時を知る被爆者が次々と亡くなられ、被爆体験を語り継ぐ人々が一人また一人と減っていく中で、被爆建物が保存され後世にその悲惨さや威力を伝えていくように、数多く作られた平和の歌も世紀を超えて歌いつがれ、次の世代に原爆の非人間性、平和の尊さを伝えていきます。今夏RCCテレビは“原爆を題材にした音楽”をテーマに、人々が音楽を通して21世紀へ伝えようとしている平和への想いをつづる特別番組を制作します。
被爆2年後の1947年、広島市で初めて開かれた平和記念式典で発表された曲「ひろしま平和の歌」は、今年も式典で広島少年合唱隊によって合唱されます。広島市の小学生で構成される広島少年合唱隊は結成41年になり、今年で取り壊しの決まった袋町小学校で毎週2回練習をつづけています。レパートリーは今年“折鶴の碑”が完成した佐々木禎子さんへの思いを朗読と合唱で表す「折鶴のとぶ日」、ジュノー記念祭で歌い続ける「明日への伝言」など豊富です。番組では1954年に作られ翌年の第1回原水爆禁止世界大会で歌われた「原爆を許すまじ」の他にも、日本を代表する童謡作家・山田耕作が曲を作ったいきさつなど代表的な作品について、音楽が誕生した戦後55年の広島の歴史や平和運動、曲にこめられた作者の思いを歌声に添えて紹介します。加えてRCCでは被爆50年の1995年から「ヒロシマと音楽」プロジェクトをスタートさせ、ヒロシマや核廃絶に関する音楽のデータベース化にとりくんでおり、元広島大学教授で原爆音楽収集家の柴田進午氏の話を交えてこの取り組みもあわせて紹介していきます。 |