第1回 東広島天文台と望遠鏡 |
国内で3番目に大きい「かなた望遠鏡」は、もともと国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」のシミュレータとして東京都三鷹市に建設されました。これを広島大学が譲り受け、現在の場所へ天文台を建設するに至った背景には、広島大学の研究面での特徴や、地域の科学的条件の優位性など、様々な要因が絡んでいます。望遠鏡には半年ほど掛けて様々な改造が施されました。特に指向速度はこれまでの5倍に向上しています。この生まれ変わった「かなた望遠鏡」を武器に、広島の地から、遥か遠方の宇宙で引き起こされる激しい天体現象の科学的解明を目指します。 |
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第2回 宇宙でもっとも激しい爆発 ガンマ線バーストの観測 |
天球上のある一点が突然ガンマ線で明るく輝き、数分以内で消えてしまう「ガンマ線バースト」。一日に一回程度の割合で観測されるこの天体現象については、発見以来多くの研究者が注目してきました。最近になって観測ネットワークが整備され、多波長の連携観測によってようやく、地球から何十億光年以上も離れた遥か彼方で起こる宇宙最大の爆発現象であることがわかり、一部のガンマ線バーストは超新星爆発に伴って発生することもわかりました。しかし、バーストの正体については、まだまだ謎が多く、現在、世界中で活発に研究が進められています。そのような中、「かなた望遠」がいかにしてガンマ線バーストの正体に迫ろうとしているのかを紹介します。 |
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第3回 ガンマ線バーストとブラックホール誕生 |
強大な重力のために一度入り込んだら光でさえ抜け出すことのできない「ブラックホール」。ブラックホールの存在は一般相対性理論などで理論的に予言されていましたが、観測技術の向上により、1970年代以降から現在までに数多くのブラックホールが発見され、現実に存在することが明らかになりました。しかし、その誕生の過程については謎が多いままです。そんな中、最近になって、宇宙最大の爆発現象「ガンマ線バースト」が、ブラックホール誕生に関連した現象であると考えられるようになりました。ガンマ線バーストの研究を通して、ブラックホール誕生の瞬間にどのように迫ることができるのか、最新の研究成果を交えて紹介します。 |
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第4回 太陽系から宇宙の果てまで |
地球を出発して、宇宙の果てまでのバーチャルな旅にご案内しましょう。惑星の他にも小さな天体がたくさん見られる太陽系を旅立つと、1000億個もの星々が円盤状に集まった私たちの銀河系が見えてきます。宇宙にはこのような銀河系が1000億個もあり、それらの銀河が網の目、泡、壁のような複雑な構造を形作っていることがわかってきました。講座の後半では、このような大きなスケールの構造の種が、宇宙の始まりであるビッグバンの段階ですでに存在していたこと、また、それがどのようにしてこのような構造に発展してきたかについて最新の考え方を紹介します。 |