審議したのは、8月3日に放送したテレビ番組「被爆80年英語ドキュメンタリー Hiroshima:All the Days that Follow」です。これまで記録した被ばく者の声や収集した戦前の資料、今も記録し続けている被爆者の姿を追ったドキュメンタリーを英語に翻訳し、英語ナレーション日本語副音声でヒロシマの記録を改めて伝えることで、世界に問う番組です。
【制作担当者の説明】
RCCでは被爆80年のタイミングで「未来へつなぐ」と題して様々な取り組みをしてきました。今回の番組は、中根アナウンサーが去年アメリカ国務省が主催する研修会に参加した際、参加していた各国のジャーナリストから「原爆についてのドキュメンタリーを英語で見たい」という声をいただき、制作しました。その際「原爆について全く知らない海外の人に向けた英語ドキュメンタリーを作ること」「RCCに残る被爆者の声をできる限りたくさん盛り込むこと」の2点を心がけました、と述べました。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- 資料映像が非常に貴重で、原爆がわからない人に伝えるのは重要だと思った。一方でどういうふうに海外に向けて広報するのか、また時代背景や放送するときとYouTubeで流すときのコンプライアンスというところは検討が必要だと思った。
- 被爆証言、絵画に言葉を失った。翻訳言語についても、苦心しながら一語一語選び取っていることがわかり、被爆地の放送局としての矜持がにじみ出た番組だったが、原爆報道の在り方を、立ち止まって考えるべき時期にきているのかなと思った。
- 全体としては良かったと思うが、80年経って歴史の話になってしまった。日本人の方がむしろ戦争が遠いところ、過去のものになっているのではないか。一番いいのは自分事にしていくことだと思う。
- 被爆者の証言をそのまま使い、ナレーションも意見をはさまず説明に終始していて、被爆の実態を伝えるという純粋な番組としていいと思った。それは英語で制作したことによるように思った。
- 広島で平和学習を受けていても被爆後の写真や、話は衝撃が強いから、「衝撃的な映像が流れます」ときちんと伝えた方が良いのではないか。
- 被爆の実相を伝えることで考え方を改めるだろうという性善説で、他にやり方がないのだろうかと思いながらここまで来た。ただ、英語の使い方とか細かく今の基準に照らさなきゃいけないこともあるが、報道機関としてものすごい財産があるなと改めて感じた。
- いい取り組みだと思うし、これからの活用ということも広くかんがえてほしい。
- 最後のナレーション「子や孫が暮らす世界に核兵器は必要でしょうか」というのがひっかかった。子や孫に残しちゃいけないのはもちろんだが、被爆者は1秒でも早く生きているうちに廃絶したいと考えていると思う。
- ぜひ「81年プロジェクト」も続けてほしい。特にYouTubeは、色々なものをアップしていく頻発性が刺さっていく・折り重なっていくということもあると思う。と言った意見がありました。
【番組担当者の返答】
最後のコメントに関して様々なご意見をいただきました。どういう形で終わるのか、問いかけでいいのか、もっと踏み込まなければならなかったのか考えながら今後制作に努めてまいりますと答えました。