審議したのは12月30日に放送したテレビ番組「鯉生む男たち~カープドラフト会議に密着~」です。プロ野球、カープのドラフト会議に密着した番組で、過去のドラフト会議の映像も交えて紹介しました。
【制作担当者の説明】
広島は、ドラフト関連番組の視聴率が全国的に見ても高い地域です。かねてから視聴者のニーズにこたえる企画をしたいと考えていました。カープ球団からもイベントを含めた企画について相談があり、特別番組につながりました。興味が高い地域だからこそ、普段見られない会議の内容、過去のドラフト映像、ドラフト制度の説明など、バランスを意識しながら制作しました。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- 視聴者が目にするのは、監督がくじを引き感想を述べる場面が主となるが、番組を通してスカウトが長期間1人の選手を全国で追いかけていることや細かく指示が飛ぶことがわかり新鮮な気持ちで見た。できればもう少し見たいと感じるほど、60分の放送枠に収めるのは惜しい内容だった。
- 自宅でカープ戦が放送されていても野球に興味がないが、人生における大きな決断を追った番組だと理解した。1人の選手を何年も追うスカウトが何人もいることも初めて知り、描かれる人間模様に大変興味をひかれた。
- 極めて秘匿性の高い現場にカメラが入ったことは、価値ある試みだった。これを軸としつつ、過去のドラフトの歴史や映像を交えながら紹介されており、ファンであればその後の活躍もスパイスとなり、カープヒストリーとしても興味深く見ることができた。
- ドラフトの緊張感が伝わり、うまい編集をしていた。
- 富士大学から2人も入団が決まったが、大学の所在地がわからずインターネットで調べた。ナレーションで一言入ると良い。
- スカウトのキャリアに触れられておらず、元プロ野球選手の中からどのような適性を持つ人がスカウトという仕事に就くのか描かれていればよかった。
- マネーゲームという言葉が使われていたが、言葉のもつニュアンスとしてはふさわしくないように感じた。
- 番組を通してみた印象では、ナレーションで語られていたような、スカウトが「影の存在」とは感じられなかった。
- 選手としては、シビアなことを言われる場面があった。どのような配慮を考えながら制作したのか知りたい。
- スカウトの人間味がうかがえる場面がとらえられており、選手にかける情熱も感じられた。選手にとっては、人生の大舞台に臨んでおり、スカウトも人生の一部分をかけて取り組んでいることが伝わってきた。そういった意味で人間ドラマとしても見ごたえがあった。
【番組担当者の返答】
番組は、スカウトの日常的な活動ではなく会議室から始まったため、スカウトの仕事内容を描ききれなかったことは反省点の一つ。松田オーナーが適性を見抜いてスカウトとし、そこから見る目を養うという部分も今後描きたいと考えています。カメラが入れたことは貴重であり、野球チームを持つ地域の放送局からは問い合わせがありました。選手、コーチなどユニフォームを着る側を感覚的に表とし、ユニフォームを着ない人々を裏方と表現したことで、潜在的に線を引いていました。富士大学について、所在地が岩手県と思う人は少ないと思います。丁寧に伝えるべきでした。選手を選ぶ段階で、放送中のコメントには傷つく選手も出る可能性があり、配慮しました。
【その他】
ラジオ・テレビ両局長から、春の改編について説明をしました。