審議したのは、9月17日に放送したテレビ番組「元就。」です。広島出身のお笑い芸人アンガールズが地元広島のふるさと再発見と題して、広島の人や貴重なものなどを訪ね歩くバラエディ番組です。放送開始から14年、放送回数は500回を超えました。
【制作担当者の説明】
500回を超えても、まだ訪ねていない場所がたくさんあり、その中の1つが福山市山野町でした。どんなところかとアンガールズの二人も興味をもってすたこらして(番組流にいう「訪ね歩く」)してくれるだろうというねらいがありました。その町に暮らす人々がどんなことを大切にし、どんな思いで暮らしているかを切り取るのが「元就。」の使命だと感じています。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- 県民の中でもあまり知られていない地域を広島メジャーの番組で紹介するのがよかった。
- ワイン造りのおもしろさを語る職人の表情や藍染めの染料の説明など非常に興味深かった。
- 地元出身ではない方を紹介し、過疎地の活性化という意味でも示唆に富んだ事例だったのではないか。
- 山根さんの要旨を「やまねごん」と言って、山野町に出たと言われる「やまごん」に見立てて笑いをとる演出は、失礼なのではないか。
- 「やまねごん」は愛あるいじりに感じた。
- 地元の人の本音を軽妙に引き出すやりとりは、さすが14年、テレビ局との信頼感と知名度がある底力を改めて発見した。
- 山根さんのワインについての語彙が豊富。食レポも進化したのではないか。
- 紹介する人の肩書や名前が画面に出るのが遅く、どのような人か情報は早めに出した方が良いのではないか。
- 行き当たりばったりでいろんな出会いがあるハプニング的なところが番組の魅力の一つであろうが、秘境とされるようなところに行って、こんなにうまい出会いがある訳もなく、さじ加減をどのようにされているのか、ご苦労があるのでは。
- 広島では長く続いている番組でアンガールズも安定感があり、安心できる番組だ。
- ながら見をしていると、田中さんのパートと山根さんのパートがどっちのパートかわからなくなるのでは。クロスする演出なら、どちらのパートかわかるような工夫があると良いのではないか。
- アンガールズの二人の情報収集をする姿勢が、謙虚で、取材相手とすっと仲良しになる距離の取り方がうまい。
- 行った場所をマッピングしてはどうか。
- アンガールズは売れても相変わらずの人の良さ、地元を大事にする姿に好感が持てる。
- 地域を田舎と軽んじたり、都市が上か下か、潜在的に地域の格付けバイアスを自分も含めて助長してきたことはないかと感じる。特性を別の表現に置き換える腕の見せ所を今後も期待したい。
- 定住促進、関係人口の創出、多様なライフスタイルの支援など、現在の地域が抱える課題へのアプローチで、アンガールズのキャラクターでさりげなく伝わっていったと感じた。
【番組担当者の返答】
「やまごん」と「やまねごん」は語呂でずらして笑いにもっていくところは、容姿についての表現もあり不快に感じる人がいることを番組スタッフと一緒に考えていきたい。視聴者が見たいであろう最大公約数的な場所を紹介した方が番組としては結果が出るし、良い内容になりそうだと思ってしまいがちで、実際、宮島などを取り上げると視聴率は良い。半面、あまり知られていないであろう場所にスポットを当てて紹介することも必要だと感じており、実際、この放送回は視聴率がよく、スタッフの自信につながり、励まされた気持ちになっています。制作側で下調べは入念にしますがアンガールズはそれを知りません。その町をどのように歩けばいいところを紹介でき、良い人と出会えるのだろうかと、実際に町を歩き、二人には自由にすたこらしてもらおうという演出をしています。「秘境」の取り扱いついてスタッフで議論しました。番組としては「行ったことのないところに対するロマン」としましたが、改めて認識したい。
【その他】
国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」の国際登録へ、中国放送を含む6者の共同申請による「広島原爆の視覚的資料―1945年の写真と映像」を日本政府が推薦することを決めたことを報告しました。