審議したのは、2月23日に放送したテレビ番組「お好み焼き 中東ヨルダンを行く!」です。駐日ヨルダン大使に依頼され、お好み焼きを中東のヨルダンへ伝える広島市のお好み焼き店の活動を現地取材を交えて伝えたドキュメンタリー番組です。
【制作担当者の説明】
戦後のお好み焼きの歴史を通じて、ヨルダンと食文化だけではなく、平和の思いも乗せた交流を図りたいと考えたヨルダン大使の思いに興味を持ちました。ヨルダンは紛争地域に囲まれ、難民キャンプには日常的に人が流れ込んでおり、平和について考える機会がすぐそばにあります。ヨルダンで好まれるお好み焼きの開発という店の工夫や現地での交流、難民キャンプでのインタビューを通して、お好み焼きが人をつなぐ力も感じていただけたらと考え、制作しました。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- お好み焼きのルーツや歴史、ヨルダンの国情、難民キャンプの現在の状況、現地の食文化などさまざまな要素が一体となり、地方局としてはスケールの大きい、濃い中身の1時間番組だった。
- 鶏肉やオリーブオイル、パスタを使ったヨルダン風のお好み焼きに興味を覚えた。
- 言葉はわからなくても、料理人同士通じ合っている様子が受け取れた。
- ロシアからの侵攻を受けるウクライナの人たちが侵攻を受ける前の状態に戻すことを希求しているのと同じようにパレスチナの人が求める希望や望みを救い切れていない気がした。パレスチナの人の平和とは何かを踏み込んで取り上げることはできなかったか。
- パレスチナとヨルダンに住んでいるパレスチナからの難民では立ち位置が違うため、平和への願いは違うのではないかと感じるが、一石を投じることはできるかもしれない。
- 難民キャンプを案内した清田さんは、国連パレスチナ難民救済事業機関の事業局長とわかった。清田さんの説明がもう少しあれば良かったし、活動への思いも聞きたかった。
- お好みソースの原材料はさまざまなものがあると聞くが、ソースへの言及がなかったことが気になった。
- 粉を溶いた生地の料理、野菜料理はそれぞれの国にあるという普遍性と、一方で粉と野菜を混ぜずに重ねて一つにしたやり方の特殊性に改めて気づき、お好み焼きはいろんな国でアイコニックに受け入れられるということに気が付いた。また、ヨルダンの日常的な食べ物はどんなものがあるか知りたかった。
- これらの活動がどれくらいのスパンで行われたのか、時間の経過がわからなかった。
- お好み焼きが海外で平和を伝える一方で、地元広島では、「はだしのゲン」や第五福竜丸の件が教材から削除されようとしているという空気の中で、市民同士のかかわりが重要と感じたと共に、それぞれの考える平和、そして、現実が少しずつズレつつあるのかと何とも言えない気持ちになった。だからこそ、市民一人一人が同じ釜の飯を食い、相互理解が深められていくことが重要だと感じる。
- ジャパンフェスでのお好み焼き実演は、長い行列ができていた。あの人気の理由が知りたい。
- ヨルダンの難民キャンプの状況、貧困の状況とウクライナを重ね合わせた時、これからの広島の関わり方の中で一つのヒントになるのではないかと感じた。
- お好み焼きをヨルダンに伝えたいという大使の思いは今回の交流で果たされたのか知りたい。
- 8月6日に外国の大使を招いてお好み焼きづくりをするという活動があったとは知らなかったし、その活動がヨルダンへつながっていることに興味が持てた。G7サミットでそういう企画があるのなら、どういう活動や外交がなされるか報道いただきたい。
【番組担当者の返答】
お好み焼きで伝えたい平和とそれぞれの国やその立ち位置で考える平和の位置づけは違うため、統一することは難しいと思うが、それぞれがどういう平和を願っているかに考えを及ばせることが足りなかった。清田さんについてはもう少し説明をすればよかった。ソースのことは気になっていたので確認をしました。豚肉などを使用していないものでマレーシアで製造しているヴィーガン用のソースを使っていたと聞きました。話のはじまりはコロナ前、渡航が禁じられたため、去年夏前、再び進み始め、一行が秋にヨルダンに3週間滞在し、私は4日間の取材日程でした。ジャパンフェスでの行列は、日本大使館が宣伝したり、現地に滞在している日本人の団体などがPRしたと聞きましたし、どうやって焼いたか見えるから食べたことがなくても食べやすかったのではないかという話も聞きました。お好み焼きは一つのきっかけで、大使は元観光大臣。日本とヨルダンに交流がほしいと思っていると感じていて、今後もさらに展開があるのではと思っています。
【その他】
ラジオ・テレビ両局長から、春の改編について説明をしました。
今回の審議会で、石田洋子委員長が三期六年間の任期を終え退任されました。