審議したのは、11月23日に放送したテレビ番組「こころ彩る あき日和」です。コロナ禍で行われなかった祭りやイベントが県内で3年ぶりに行われました。2022年「広島の秋」を映像メインに取材したニュース企画をまとめ、番組にしました。
【制作担当者の説明】
それぞれの祭りやイベントは、日々のニュースの中で企画として取り上げたり短く扱ったりした中からいきいきとした内容を断片的に切り出しつなげました。この3年間は、マスクをしての表情や活動しか撮れませんでしたが、イベントではその時だけでもマスクを外し、笑顔や真剣な表情を撮影することができました。もう一度見直して、日常の大切さを改めて感じてもらえればという思いで制作しました。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- コロナ報道を見て陰鬱な気分になることが多く、こういう映像素材に飢えていたことを実感した。番組のタイトルにある通り、心が彩られるような内容だった。
- 西日本豪雨で被害を受けた町の祭りの映像があり、復興も表していた。コロナの閉塞感の中で勇気を与える番組だった。
- 亀山神社のやぶが俵に乗るシーンがあったが、あれは不作法。取材の場にいたがこころ彩る対象として放送されたことが残念だった。
- お通りを初めて知った。保存会の会長の元気を出すためにやるし、お通りがあるからみんな元気になるとの発言が心に染みた。お通りに限ったことではなく、学校や地域社会における行事全てに言えることだろう。
- 広島で生まれ育っても知らない祭りや行ったことのない地域の話題が多く興味をひかれた。お通りは地元の人にとって年齢ごとに思い出が重なり地元の人の心に近い祭りであることが伝わり感銘を受けた。一方で、伝統文化、観光産業、地域の医療、それぞれの問題をどのように両立させていくかを問題提起されたのではないか。
- いろいろな地名が出てきたが、地図で表されたらさらにわかりやすかったのではないか。
- コロナの前は、祭りというと担い手が少なく衰退する方向にあったが、こういった番組を見て、地域の祭りを継承していこうと思ってもらえるといい。
- 祭りで子供を怖がらせることについては議論があるが、個人的には情操教育として良いことで大切にしてもらいたい風習だ。
- 広島の祭りを紹介するシリーズ企画があってもよいのではないか。
- コンテンツを数えたら15もあり、行ってみたいもの知らないものなどあった。コンテンツの紹介時間の長短がランダムで戸惑った。
- 多くの内容があると散漫になりかねない危惧があると思うが、そのあたりの工夫を知りたい。
- 放送局として、地元の営みに目を向けそれをオムニバスでまとめようということが後世に残す貴重な映像記録となる。
- 長い時代を経て守られてきた地域のお祭りが津々浦々にあることがわかり、それらは古式ゆかしくクオリティが高い。地域の人たちが守ろう、再開しようとする動きはコロナ禍のトンネルを出ていこうとする、時代の一つの局面を切り取る内容だった。
【番組担当者の返答】
やぶが俵に乗るシーンについて、その場でご指摘いただければ記者の勉強になり、映像として躍動感のある祭りでも一つ一つのシーンには作法やしきたりがある奥深さを学ぶ機会になります。お通りは短いニュースとして伝えることはありましたが、長く撮影したことがなかった。改めて撮影しておく価値があるもの、映像記録とする大切さも改めて感じました。今回の番組は引き込まれるようなスリリングな内容にはならないと感じていたため、オムニバスにする際、緩急をつけることを心がけました。
【その他】
民放連(日本民間放送連盟)放送基準が改正され、2023年4月から施行されます。民放連の放送基準はRCC番組基準として準用されるため、RCCは放送法第6条第3項に基づいて、RCC番組基準の一部変更を番組審議会に諮問しました。次回、第684回で答申します。