審議したのは、10月10日に放送したテレビ番組「100メートルハードル福部真子~日本新記録が広島から生まれた理由~」です。この番組は、100メートルハードル女子で日本新記録を樹立した広島出身で地元広島で活動を続ける福部真子選手を4年にわたって取材したドキュメンタリー番組です。
【制作担当者の説明】
スポーツディレクターとして、カープ以外の選手にも広島県民に興味を持ってもらえることができればと考えていた時、福部選手に出会いました。彼女の前向きなところやその背景、世界に羽ばたくことがあれば、いろんな人にとって共感を持てたり励みになったりするような番組が作れると感じて、継続取材をさせてもらっていました。広島でも世界を目指せる土台が作れる、また、環境を変えながらも、自分自身で道を開いていったストーリーを紹介したいという思いで番組を制作しました。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- 知られているようで知られていない地元出身の一流アスリートの存在を、まとまった特集番組で伝える意義は大きい。
- 番組のタイトルが「日本新記録が広島から生まれた理由」となっていることに対して、はっきりとした理由が最後まで捉えにくかった。
- 福部選手のゲームを心から楽しみ気分転換をする今どきのアスリートの姿に好感が持てました。
- 福部選手の実家での様子や家族のコメント、学生時代の同級生のコメントなどを挿入すれば、さらに視聴者にとって親近感がわき、番組に深みが出たのではないか。制約があったのかもしれないが、競技者を目指すにいたったエピソードなども知りたかった。
- 人柄や言動の明るさが感じが良く、こういうアスリートが地元にいることが勇気をもらったように感じました。取材時、調子が良かったわけではない時に継続して取材し、取材者は炯眼の持ち主だ。
- 所属企業が福部選手をどのように感じているか、支援についても知りたかった。
- 福部選手のハードルを飛ぶ姿が美しい。頭の軸がぶれず、足が伸びて改めて美しいと感じた。
- 福部選手の走りについて、客観的に分析してくれる人が話すと説得力が出てくるのではないか。
- ナレーションが終始、ハイテンション。もう少し、落ち着いたナレーションも聞きたかった。
- 福部選手は、涙する部分もあったが、終始明るく、暗い部分や悩んだところも知りたかった。
- 地方局におけるミッションとして、地方出身の方、地方の環境、地域性、その可能性を追究したのではないか。内容の濃い、30分の放送時間が短いと感じるくらいの番組で最後まで興味を持って見ました。
【番組担当者の返答】
福部選手の家族に取材のオファーはしましたが、恥ずかしいのでできればやめてほしいと言われています。今後のビッグイベントに備えて、温存したい。日本選手権で予選敗退する選手に対してサポートメンバーが作られたのは、広島だからこそではないかと委員の皆さんの話を聞いて感じ、こういった部分を入れれば「広島から」の理由としてわかりやすかったのではないかと感じました。福部選手は、取材を始めたころは確かに暗い部分もあったが今はとても明るいため、明るめの構成にしました。