審議したのは、9月23日に放送したテレビ番組「私もSDGs~10年後も広島に住みたいですか?~」です。今年2月、RCCは国連が世界の報道機関に呼びかけているSDGメディアコンパクトに加盟し、SDGsにかかわる情報発信を改めて始めたことから、特別番組もSDGs入門編として制作し放送しました。
【制作担当者の説明】
ひろしまジン大学学長の平尾順平さんとSDGs初心者の田村友里アナウンサーが視聴者の目線に立って、SDGsについて学ぶ構成で展開し、大きく世界という視点ではなく、広島の身近な問題に触れながら自分の問題としてとらえてもらえるようにしました。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- タイトルを聞いて、自分の問題として引き寄せる効果はあるだろう。一方で、SDGsは「自己都合や地域主義よりも、未来のためにもっと大きな視点で」というのが肝でもあろうから、バランスを取るのは難しいとも思った。
- ジェンダー問題のように、新たな議論が始まったばかりのテーマは、視聴者に対して専門家の意見の影響は大きい。専門家として誰を呼ぶか、何人呼ぶか、1人ならばいろいろな考え方を紹介するなど、番組を企画制作する際に十分検討して欲しい。
- 入門番組という事であれば、最初にSDGsとはなにか、17の目標とはと、もう少し詳しい説明が必要ではないか。そうすれば、SDGs全体の目標や各項目への繋がりが理解されるものと思います。
- 番組全体の結論として、エコバックの使用、食用油を流さない、外国語や手話でコミュニケーションを取るなど日々の小さな積み重ねがSDGsにつながっているとなると、それは結局「個人がそこまで大きく変わらなくてもいい」ことを肯定していることにならないか。また、SDGsに取り組むため、どのような行動をとるかということに対して、「日常の延長」と伝えていたが、本当はもう1歩も2歩も進んでもらいたいのではないか。延長といわれたら、日常のままで良いと受け取られかねない。
- 放送時間に対して、エピソードの数が多すぎたのではないか。一つ一つの紹介が短くて浅いという印象を受けた。内容を咀嚼したり、吟味したりする前に、次の話題に移ってしまい理解が追いつかなかった。
- 好感度が高い番組でした。入門編ということで、SDGsは何なのかなという関心を持ってもらう上では、非常に良かった。SDGsは、決して環境だけでも、ジェンダーだけでもない。バランス良く表現し、訴えていた。
- 番組の中にアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)を肯定するような言葉がいくつかあった。視聴者には、それでいいのだとメッセージを視聴者の方に与えてしまっていることがジェンダーとの関係では大変だと思いながら、全体を見ました。改めて一つ一つどうだったかをチェックして見てもらいたい。
【番組担当者の返答】
SDGsとは何かという説明部分を、どこまでするかスタッフで話し合いましたが、入門編といいながら軽くすませていたと感じました。放送時間の中でエピソードを詰め込みすぎたかと感じています。内容に興味を持った視聴者がホームページ上にある動画を見てもらえるようにと画面を工夫しました。