審議したのは、7月10日に放送したテレビ番組 海の日特番「同期さんいらっしゃーい!」です。中四国地区に放送した番組で、誕生して20年が経った物や年代が近い人を、結成から20年のお笑い芸人アンガールズの同期として紹介したバラエティ番組です。
【制作担当者の説明】
コロナ禍に放送する番組のため、状況によっては、タレントが広島に来られなかったことも考えて企画し、お店に行きたくても行けないことがあるため最強コンテンツともいえるグルメを避けるなど、今の時代に合わせた番組制作をしました。根底にあったのはご覧になった方が元気が出る内容にしたいという思いです。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- 芸人さんたちのトーク内容から察すると、良い話が続いていくとは思えないようなギャップがあり、結果的に良い話がコンパクトに詰まっていて見ていて気持ちの良い番組でした。
- 山口県の角島大橋とオタフクソースのチヂミ粉、能楽師の大島さんは、2000年デビュー以外の共通点はなかったのか、「同期」とは基本的には人を指す言葉なので、インフラや商品まで含めるのは強引な印象がありました。
- チヂミ粉には、商品開発時の時代背景や課題、開発者の思いなど、もっと具体的に掘り下げるとより物語が深くなったのではないか。
- アンガールズに平成ノブシコブシの吉村さん、互いにバラエティなどで競い合い協力し合ってきた関係性がそこかしこににじみ、安心して見ることができました。キャスティングの妙です。
- デビューから20年というくくり方をしたのだから、角島大橋もチジミ粉も今につながるエピソードが聞けるとよりよかったのではないか。
- 番組に出演する人全て男性でした。今後、多様性という視点を持っていただけたら更に良くなるのではないかと思いました。
- 橋を作ってほしいと年賀状を書くシーンがありましたが、公共や福祉の面から考えると橋の建設がエモーショナルなことで決まって良いのかと少し思いました。
- 日本の伝統芸能の血統主義に見られるように、この番組もどちらかというとそれを称揚する方向で作られる語りのように感じました。これに対して、日本の常識として少しいびつなものがあると感じているので、家族で見る時間の番組としては不用意な面もあるのではないかと感じました。
- BGMが歌詞の入ったものでした。コメントが聞きにくかったので歌詞のないものにしてほしかった。
- 角島大橋のパートで心に残ったのは、3年経っても5年経ってもお客さんが減らなかったという言葉。チヂミ粉も順調に伸びている人気商品ベストテンに入るレベルの高い商品。こういう、良いものや、能のように伝統の本物は月日を超えて継続して評価を受けるんだとこれらの事例から知りました。
【番組担当者の返答】
取材する中でもっといい話もありましたが、60分の制限の中でカットした部分がありました。メインをどの話にするかという中で、すべてを同じ時間にするわけにはいかず長さを調整しました。女性には出演していただくつもりでいました。角島大橋のパートでは出演拒否にあい、やむなく断念しました。能のパートでは人の生き方に関わるためアンガ―ルズも吉村さんもコメントが難しかっただろうと思います。息の長いものはコンセプトがはっきりしていて、人の心を動かす、軸となる部分がはっきりしている、この思いが伝わり、嬉しいです。