今回は、新型コロナウイルス感染防止のため、ウェブ会議システムを利用して審議会を開催しました。審議したのは、11月8日に放送したテレビ番組「日本のチカラ しげさんからの10万円 未来に種まく農チューバ―」です。チャンネル登録者数が5万人を超える東広島市の農業ユーチューバー原田貴志さんの元に、会ったこともない87歳の女性から手紙と定額給付金の現金10万円が送られてきたことから始まる番組です。
【制作担当者の説明】
手紙には「未来の農業のために使ってください」とあり、書かれた番号に電話してもつながらないと、原田さんから番組ディレクターに連絡がありました。コロナ禍の中、しげさんにどのようにして連絡を取るか、どのように会うかなど原田さんと共にスタッフも細心の注意を払いながら撮影しました。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- おもしろく見せていただいた。日曜の5時台の放送ではもったいない。もっと多くの人が見ている時間帯、土曜日曜の午後などに放送してはどうか。
- しげさんとは連絡がつかないままかもしれないのに番組を作り始めようと思ったのはなぜか。どうやって三重県のしげさんが広島の原田さんを知ったのか。
- ユーチューブと農業という組み合わせがおもしろい。原田さんがどのようにしてチャンネル登録者が5万を超えるほどの存在になったのかもう少し説明が欲しかった。
- 「日本のチカラ」という番組名の趣旨説明が欲しい。
- ドローンが田の上を飛ぶ光景、中国山地、中山間地域の映像に惹きつけられました。
- 番組を通して、カメラアングルや構成が非常に良かった。
- 保育施設を外から撮影しており、随所にコロナ禍の映像表現を感じました。
- 高齢の方が若い人に未来を託す、託された側も丁寧にその思いを汲みとろうと交流を図る良い話と感じました。
- 食育だけでなく、治水、景観など田んぼはさまざまな力を持っている。しげさんが、「地べた」という言葉を使っていたが、これまではつらいこともおありだっただろうが、しげさんの豊かな人生に思いをはせることができ、こういう人が日本のチカラだという気がした。
- しげさんと連絡が取れたことをさらっと処理されていたので、しげさんが映像に出てきたときに少し違和感があった。
- 心が温まる番組でした。原田さんは意義のあることを地道にされて成功されているし、しげさんもいい心持のおばあさまだと感じましたが、しげさんを探そうと思えば封筒に連絡先は明記してあるはずなので、ややドラマチックにしすぎたのではないか。
- 原田さんは自ら発信し、他のメディアにも取材をされていると承知していますが、この10万円のことはRCCさんに相談をされたのですね。その信頼関係も素晴らしい。
- しげさんと原田さんの会話を聞いていて、初めての会話と思えないとても温もりのある会話が印象的でした。
- 人を紹介したり、ネットワークを広げるお手伝いをするのがテレビの役割だと思う。地元の企業やヒーローを取り上げる番組は他局にもあるが、今後は、このように個人を取り上げて掘り下げたりスポットライトを当てたりすることにも期待したい。
【番組担当者の返答】
SNSが発達した時代に手紙が届くというのがとても良く、この話を聞いた時点で、文通も一つの手段、会えなくても番組として成立すると感じていました。この番組は、日本民間教育協会のネットワーク番組で加盟社がそれぞれ制作し全国放送されます。このネットワークを通じて一昨年、原田さんを取材した番組を制作し放送したところ、それをしげさんがご覧になっていたそうです。「日本のチカラ」は、時にNHKを通じて世界に放送されますが、この番組も評価いただいて、その放送が決まり準備を進めています。