審議したのは、8月6日に放送したテレビ番組「おーい、聴こえますか?被爆75年・ヒロシマから」です。
横浜市に暮らす体内被爆者で原爆症小頭症の男性患者とその姉、安芸高田市に住む同じく体内被爆者の男性などを取材。過去の映像や音声を交え、被爆者がいわれなき偏見や差別に苦しんできた現実を振り返りながら、平和の本質とは何かを考えました。
【制作担当者の説明】
新型コロナウイルスの影響で普通だと思っていた生活が激変。感染者やその家族、医療・福祉の現場で働く人に向けられるバッシングを見ていると、この状況は、原子爆弾の影響で被爆者が苦しんできた差別や偏見に似ているのではないかと感じるようになりました。コロナ禍で取材は思うように進みませんでしたが、広島から何を発信していくかを考えて制作しました。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- 過去の映像や記録が多用されており、さすが中国放送の蓄積と感心しました。折に触れエピソードが取材されていて、映像に厚みがありました。取材が難しかった状況で、県外の取材も交えながら、意義のある番組を制作されました。
- 横浜市で暮らす男性が原爆小頭症と認定されたのが1989年、どうしてここまで時間がかかったのか知りたい。
- 幼い兄弟が出ている演出について知りたい。
- タイトルに込めた意味を知りたい。
- コロナ禍における差別問題を断罪されモヤモヤが晴れました。
- 原爆症小頭症患者が差別や偏見にさらされていたことを現代と重ねて問題提起したことに興味がもて、意義深いことだと思いました。
- 片仮名のヒロシマという言葉に政治的主張を連想させられました。
- 新型コロナについては、不安であるがゆえに自分を守るために攻撃をしているのではないかと想像すると、自分の心に問い直してみましょうと教育的な問いかけと、国民が警戒や恐怖に陥らないようにどのようなことをしてくれるのかと政治に問うこともジャーナリズムとして持っていていただきたい。
- 周囲からの差別や偏見に苦しんできた歴史や事実は、自分を含む人間という生きもののいやしさを突き付けられているようで重い気持ちになりました。
- 妹さんがお兄さんを、弟さんがお兄さんをお世話している兄妹愛、兄弟愛に感動しました。
- ラストのBGMのイマジンは相応しい選曲でした。
【番組担当者の返答】
男性のご家族は障がいは原爆によるものではないかと感じながらも裏付けるものがなく、障がい者として生活を営んでいました。認定を受けた年は、被爆者である男性の母親が亡くなり、書類などの手続きをする際、原爆小頭症という文言を見つけて役場に問い合わせたことがきっかけでした。幼い兄弟の演出は、小さな見出しを作るため、また、これからの日本、地球を生きる子どもたちにつなげていきたいという思いを込めました。私の感じる片仮名のヒロシマは、原爆が投下された広島を起点とする様々な事象について訴える際に使う言葉です。
【その他】
今回の番組審議会では、ラジオ・テレビの各局長がそれぞれ秋の新編成について説明しました。