審議したのは8月4日日曜に放送されたテレビ番組「おばあちゃんから私へ~あの日のヒロシマを辿る~」(14:00~15:00)です。これまで原爆投下時のことを語ることのなかった祖母の木村敬子さんに孫の中根夕希アナウンサーが当時の話を聴いた番組です。
【制作担当者の説明】
身近な人の戦争体験を聞き、原爆のことを初めて知る人にとっても分かるような番組にしようと心がけて番組を制作しました。戦争を知らない若い世代にとって大事なことは、話を聴くということではないかと思います。番組の中では、孫がおばあちゃんの話を聴く、プライベートに近い柔らかい雰囲気を大事にしたいと思いながら制作しました。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- 番組をすべて見終わらないと全体がつかめない構成になっていました。原爆に関する番組の初心者コースだと初めに伝えてスタートすれば良かったのではないか。
- アットホームな感じはしたが、せっかく祖母と孫が話しているのだから、もっと何かを訴えるところがあっても良いのではないか、番組としてもう一捻り欲しかった。
- アナウンサーの身内だからと話したくないことも話さなければならない雰囲気になっていなければ良いがと感じました。祖母から孫へ体験を継承するシーンを覗いているような気分になれ、とても良かった。
- 歴史で習う原爆ではなく、一人一人の日常に原爆が投下され、その後の生き方や体験が伝わってきたことが非常に良かった。私の母は、私には被爆体験を語ろうとはしないので、孫に聞かせてみたら話したいこともあるのではないかと考えました。
- 原爆について今まで話していない方が、この番組を見られて、私も伝えてみようという気持ちになられたら、尚良いのではないかと感じました。
- 8月6日について初級者が知るには、耳に入りやすくわかりやすかったと素直に感じました。
- 祖母の敬子さんがお住まいの福岡で放送されて、原爆が身近にない地域の方が見てどのように思うのか聞いてみたい。
- カメラアングルなどを工夫して、中根アナウンサーの家族の立場に近いスタンスでこの番組を見ることができたのではないかと感じました。
- 中根アナウンサーが祖母に話を聞いていることが、ジャーナリスティックなところを乗り越えて、視聴者には自然な感じで話が耳に入ってくるという効果があったのではないか。
- 「話すつもりもなかったが、孫が聞くから話した」というフレーズがありました。これは、十数万人の被爆者が今ご存命ですが、多くの人が自分のことを語ることを秘めたまま年老いていかれる方が相当多いということを暗示していると感じました。
【番組担当者の返答】
私の祖母も被爆者手帳を持っていますが、母は話を聞いたことがなく、私が聞くと少し話すこともあります。中根アナウンサーもそういう経緯があり、孫、被爆三世の立場でできることはまだあるのではないかという思いを持っています。
【その他】
今回の番組審議会では、ラジオ・テレビの各局長がそれぞれ秋の新編成について説明しました。