今回審議したのは、八月六日に放送されたテレビ番組「似島の少年」です。
終戦の頃、原爆で廃墟となった広島には、数千人の孤児がいました。当時8歳で、闇市の立ち並ぶ広島駅前で靴磨きをしながら路上生活を送っていた少年は、ある日突然トラックの荷台に乗せられ、似島にある孤児の保護施設に連れていかれました。戦争に翻弄された一人の孤児の歩みをたどった番組です。
「最初は孤児をテーマに取材しようと絞っていたわけではなく、似島(にのしま)という島自体をテーマに番組を作ろうと企画しました。様々な話を集めてくる中で孤児の話も含まれていて、今回の番組の主人公になった方のことがあり、この話に絞って作るのがいいのではないかという変遷を経て、この番組になりました。」
「島の映像に関しては、非常に苦労しました。瀬戸内の島ですから、数多くの白黒写真と、原色の、海、空、太陽を、うまく相乗効果をもつように構成しようと思いました。子供たちがすくすく育っていくような環境というイメージがありました。そういう中でのロケをしたかったのですが、なかなか晴れの日がなくて。本当はもう少し、島の原色の世界みたいなものを取り入れたかったと思っています。」
今回の番組審議会では、ラジオ・テレビの各局長がそれぞれ秋の新編成について説明しました。