今回審議したのは6月28日放送のテレビ番組「RCC被爆七〇年プロジェクト 未来へ 104Wk ~隠された不戦巨艦の爆沈~」です。
今から72年前、太平洋戦争中瀬戸内海に沈んだ戦艦「陸奥(むつ)」を取り上げた番組です。
【担当ディレクターの説明】】
「海上保安庁の調査に同行したことがきっかけで取材を始めました。引き上げの時には、全国的にもニュースなどで取り上げられていましたが、それ以降、あまり取り上げられていない状況で、今回戦後70年ということで改めて番組にしようと思いました。陸奥が爆発事故によって沈んだ事実が、戦時中ということで隠されたことについて、現在の乗組員や遺族なども含めて、それにまつわる様々な取材を行いました。」
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- 非常にシビアな番組だと感じた。一番のテーマは、「戦争と秘密」ということだったが、それだけではなく、いかに現在が平和で幸せなのかっていうことをわかってほしいという思いがこめられていたと思う。
- 戦艦をキャラクター化したゲームをする若者がでていたが、ある意味、この番組をどう見るか、どう評価するかというのは、たぶんそのシーンをどう考えるかだったと思う。違和感があり、ちょっと極端に走りすぎているのではないかという思いもしたが、今のこの時代の雰囲気、若者達の心持ち、心模様のようなものを、しっかり把握・表現できたかと思った。また、そのあとの自衛官達のコメントも、最近の安保法制議論の中での若い自衛官達の素直な心情を表現していたと思う。
- 終戦後、ラジオで初めて陸奥が沈んだということを発表されたというシーンがあったが、その後、それに対する遺族の方々の証言や。反応がどうだったのかが欲しかった。しかし、全体としては非常にきちんと作った番組で、幅の広い作り方をしていて、非常に良かったと思う。
- 陸奥建造の動機について、当時の国の考えについてとりあげて欲しかった。なぜ巨艦主義に走ったのかということから、番組最後の反戦というところに収束していくのだろうと思う。
【担当ディレクターの返答】
「戦時中の様子を描くことで、今の平和のありがたさを考える内容になったと思います」
【その他】
大谷徹氏が今回の審議会をもって委員を退任されました