今回審議したのは、3月30日に放送したのはテレビ番組「和解~中国人強制連行問題の軌跡」です。緊張する日中関係。その両国の人たちが立てた「和解」の碑が、安芸太田町安野にあります。戦時中、発電所の建設現場には中国人360人が強制連行され、29人が死亡しました。日本企業と元労働者、遺族は、いかにして分かり合えたのかを番組は描きました。
【担当ディレクターの説明】
裁判で和解が成立し、その後、両者の間で交流が進められたのは珍しいケース。そのことを記録すべきだと思い、番組を制作しました。
【委員の方々からのご意見、ご感想】
- 経緯が全体として分りやすかった。また、それを30分にまとめたという意味では良い番組だ。
- 非常に意義深い番組だった。それが、キー局ではなく、RCCが制作したということに感動した。
- 分厚い取材で、厚みのある映像もあり、興味深い作品だった。
- 重たいテーマだったからこそ音楽が軽妙なのが印象に残った。
- 強制連行の資料が焼却されていたら、私たちは知ることが出来なかった。こういった報道は非常に大切だと思う。
- 歴史認識問題を取り上げる時にありがちな、どちらかに偏った番組かと思っていたら、違っていて、考えさせられるすばらしい番組だった。
- 広島に強制連行で連れてこられた中国人がいることを知らなかったので、勉強になった。
- 強制連行された人たちは中国のどこからどのように連れてこられたかや、強制労働の実態がもう少しわかった方が良かった。
- 「被害者の寛容と加害者の節度」がキーワードのように出るが、もう少し噛み砕いた説明の仕方がなかったのかと思う。
- 西松建設からの和解の申し出の部分があっさり描かれていて、唐突感があった。そこをもう少し丁寧に説明すると番組に深みが出る気がする。
- 西松建設の最初のインタビューは流す必要があったのか。
- 補償金一人60万円が、中国人の彼らにとってどのくらいの値打ちなのか、年収と比較すればよくわかったと思う。
【担当ディレクターの返答】
外務省の報告書が、メディアに出るのは初めてだと思います。報告書の作成に関わっていた研究者が、秘かに東京華僑総会に運び込みました。それを、今回、東京の外交史料館で閲覧しました。
【その他】
放送法で義務付けられているテレビの「番組種別」の放送実績について2013年度下期を報告し、委員の了承を得ました。「番組種別」の実績は、RCCのホームページにも掲載しています。