第525回中国放送番組審議会概要

開催日: 2008年4月22日
場  所: 中国放送役員会議室

今回審議したのはラジオ番組「爆音に切り裂かれた心〜アメとムチに揺れた岩国〜」(2008年3月2日放送)です。
2月10日に実施された岩国市長選。争点は岩国基地への空母艦載機移転問題の是非でした。激しい選挙戦の結果、容認派の福田候補が、反対を貫く井原前市長を僅差で破り当選しました。国防は国の専権事項であるとして、在日米軍再編を進める国は、反対姿勢を変えない岩国市に対して、補助金をカットしました。この措置が引き金となり、岩国市の住民の意見は二つに割れ、対立を引き起こしました。
生活の安心・安全のために基地の増強には絶対に反対の人。本音は反対だが、「どうせ来るならお金をもらった方が得」と考える人。経済活性化のために、基地を利用したい経済人。番組では、国のアメとムチの方策に翻弄され、分裂する岩国市の住民の心を通して、財政難に喘ぐ地方都市の現実、そして国と地方の関係はどうあるべきかを考えました。
委員の方々からは以下のご意見、ご感想をいただきました。

  • 補助金カットという問題がなければ反対だったという住民の声が最初にもう少しあれば、切り裂かれた思いが前面に出たと思う。


  • 空母艦載機移転で一番問題になる爆音について厚木基地を取材し、空母艦載機が来るとこんなことになるということを押えていればよかったと思う。寺田稔衆議院議員の「変わったから補助金を出しますよ」という本音を伝えたと言う意味で、非常にいい番組だと思う。


  • 岩国の問題は文化の争いだ。地方の文化は経済、財政とともにあることを痛切に感じた。そういう切り口で制作したらもっと分かりやすかった。

  • 映像で見たかった。


  • 川下地区の自治会長をメインに作られているが、最後のコメントが「諦めを選択せざるを得なかった」というのはどうなのかと思う。


  • ただ単に岩国の問題と捉えずに番組を聞いた。高知の原発ゴミの問題と同様に、強者と弱者の理論だ。次回は、諦めの中から何が生まれてくるかを見せてもらえればいいと感じた。

  • ないほうがいいに決まっているものをどういう風にするかを丁寧に客観的に制作したほうがいいと思う。


  • 国の政策を押し付けられる中、地域は非常に困って二分する。そういう苦しい状況を伝えるという点ではいい番組だった。



続いて報道制作局長から放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が発表した『光市母子殺害事件の差し戻し控訴審に関する放送についての意見』の説明を行いました。対象になったのは中国放送やキー局などが制作した20番組33本です。
今回出された意見は、「番組の多くが、極めて感情的に制作されていて、裁判制度に関するゆがんだ認識を与えかねない」という厳しい内容でした。
RCCでは今回の意見を真摯に受け止め、裁判報道の公正性、正確性、公平性を議論し、確認して放送していくことを伝えました。
<文責:中国放送番組審議会事務局>

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