開催日: |
2008年2月26日 |
場 所: |
中国放送役員会議室 |
今回審議したのは2月11日に放送したテレビ番組「第22回民教協スペシャル 失くした二つのリンゴ 日本と中国のはざまで 長谷川テルがのこしたもの」です。
日中戦争の最中、中国で日本兵に向けて戦争をやめるようラジオ放送した長谷川テル。この番組は彼女の娘、暁子さんが、母親の軌跡をたどり、戦争の不条理さを訴えるドキュメンタリー作品です。
担当したディレクターは、大学の卒業論文で長谷川テルを取り上げ、長年、この題材を温めて来ました。今回、企画書が民間放送教育協会のコンペで最優秀賞を受賞したことから番組化することになり、全国33局で放送されました。
委員の方から以下のご意見をいただきました。
-
長谷川テルの娘を番組に起用したこと、資料映像の戦争フィルムをアメリカ国立公文書館などから探し出して集めたことに感心した。すばらしい作品だ。
-
子どもたちに見てほしい番組だ。
-
反戦放送を聞いた兵士のインタビューがあったので、当時の状況が生々しく、ストレートに伝わった。見逃した人のために、是非、再放送をしてほしい。
-
限られた時間の中で色々な素材をよくまとめていると思った。中国と日本、夫婦の関係、親子、それぞれの祖国など、多面的な見方が出来る番組だ。また、番組内で本の紹介があったが、読んでみようかと思うなど、好奇心や向上心をかきたてられ、とても良かった。
-
暁子さんが「心を束縛されたら幸せになれない」と言ったが、長谷川テルの思想が娘に受け継れている。やはり親子だと思った。そういう意味でも、暁子さんを起用したことが非常に良かったと思う。
-
重慶爆撃などを知らない日本人がたくさんいると思うので、このような映像を見せることは非常に大切だ。また、長谷川テルを日本では売国奴と呼んでいたが、中国では日本人でも貢献した人を手厚く葬っていることなど、新しい事実を教えてもらった。番組で流れていた胡弓の音楽が心を打った。
-
親子関係、二つの祖国をもった苦しみがみごとに描き出されていた。特に、川の側で暁子さんが、「自分も二つの祖国があり、同じだから母の気持ちがわかる」と言っていたが、そういうものがあちこちにちりばめられていて感動した。
-
ドキュメンタリータッチでありながら非常に詩的だった。立場が違う者達が、どうやってお互いの世界を共有し、痛みを痛みとして次の世代へ伝えていくか、そういう技術を映像を通して感じた。このようなことは色々な国で起きているので、国際映像として世界へ発信していくことを日本の放送界は考える必要がある。
-
日本人が戦争中行ったことや長谷川テルの活動をもっと詳しく入れてほしかった。子どもが朝、食事をする場面や中国語で赤ちゃんの前で踊るシーンは必要ない。
|