第479回中国放送番組審議会の審議の概要

(於 中国放送役員会議室)

 第479 回のRCC番組審議会は、11月25日開催されました。
 番組審議に入る前に11月20日高知市で開催されたJNN系列番組審議会近畿中四国協議会の概要報告が行われました。
 続いて、11月23日(日)午前1時20分から放送したテレビ番組『WHO ARE YOU?〜原爆ドームと私〜』を審議しました。
 この番組は、長年取材してきた映像テープを使って原爆ドームをテーマに制作したもので、制作者が一方的にメッセージを発信する手法ではなく、作り手と視聴者が会話をするような番組づくりを目指した作品です。
 視聴後委員の方々からは、

  • (A委員)
     最初に心臓の鼓動と夜の街の映像が出ました。なぜ、それらが原爆ドームと繋がるのか。私には見えませんでした。そして、エンディングでもドクドクという音と音楽が重ねてありました。私にとっては耳ざわりというか、感じが良くなかった気がします。
     それと、ナレーションの中に「地球のためには人間はいない方がいい」など、ちょっと気になる言葉が何点かありました。
     大変きれいな映像でしたが、何か芸術性の高い抽象的なところと、現実的な交差がうまく融合してないと私は感じられました。


  • (B委員)
     私も、よく理解できなかった。申し訳ないのですが退屈という感じでした。映像は綺麗で、古い所をはじめ色々出ていましたけれども。なんかあまりに高尚すぎたのか、よく分かりませんでした。最後の音楽は良かったなと感じました。


  • (C委員)
     これまでの映像を二次利用するという点では画像もキレイで良かったと思います。新たに取材したカットを探してみたのですが、分からない位うまく構成されていました。ナレーションとか、ストーリーの構成をもう少し巧く噛み合わせていけば、良かったのかなという気がしました。


  • (D委員)
     「WHO ARE YOU?」というタイトルですが、なんか「WHO AM I? 」という感じもしました。どちらかというと、バーチャルな生活を送っている若者達には、このような番組を見せたらいいかなと感じました。内容的には、こういう人達の犠牲があって、いま生きていて良かった。みんなが懸命に生きて、どん底からはい上がってきた。そして、今の広島の素晴らしい発展がある。恐らく、命の尊さみたいなものを伝えたいのだろうと思うけれども、それにつながるような言葉が見つからない。そんな感じが最後までしました。


  • (E委員)
     再来年が被爆60周年ということで、広島そして自らが、改めてドームの持つ意味を問わないといけない時が来ると思います。時代認識で見れば、ある意味で挑戦された番組だろうという思いで見ておりました。
     僕自身は広島で生まれました。子どもの頃、ドームの前でハゼを釣ったりした記憶があるものですから、いろんな時代を経て、原爆ドームが変わってきたという思いがあります。個人的には、自分を映す鏡をキーワードにあの番組を見ておりました。


  • (F委員)
     私は、非常に感動させられました。我々が忘れている本当の平和を、平和ボケしている日本人が本当の戦争の恐ろしさを、時々こういった番組で取り上げていただければと思います。被爆者の声が本当に聞こえました。若い人達にぜひ私は見ていただきたいなというふうに思いました。


  • (G委員)
     「映像は、本当に美しかったなと思います。中身に関しては、いろんな問い掛けがありました。亡くなった方々への問い掛けや自分自身への問い掛け、視聴者の方々への問い掛けがあり、対話の試みは伝わってきました。しかし、対話というのは自分の主張があった上で成り立つのではないか、もう少し「私」が明確だったら、視聴者の想像と共に対話が成り立っていったのかなという思いがあります。
     なぜ、「私」が心に伝わってこなかったのだろうかと考えると、ナレーション、特に表現の仕方に問題があったために、気だるさみたいなものにつながり「私」が掴み難かったのかと思ったりしました。


  • (委員長)
     率直に申し上げると、私は、いい出来だったと思いました。
     原爆とか平和問題について、世界が今ひとつ大きな流れになってこないのは、これまでの強烈な主張というものが、あまりにも世界の人々にとって受け入れがたい。被爆者以外は主体者になりえないということを訴え続けた広島が、今後はこれを素材として、全ての人々が主体者として平和を考えていくべきだという方向性を打ち出す時代になっていると思っています。
     そういう意味では、この番組での扱い方というのは、確かに今までの主張の強烈さというものと比べれば、いくぶん自問自答に終始しているようですけれど、私はこうした課題を考えていくスタンスとしては、かなり評価できると個人的には思っています。


などのご意見・ご感想をいただきました。
RCC側からは、
  •  放送局の免許更新とそれに伴う総務大臣からの要請書についてと、12月1日から東京、大阪、名古屋で始まるデジタル放送・Bキャスシステムについて説明しました。


平成15年11月25日
中国放送番組審議会
出席委員は
委員長:生和秀敏
副委員長:久保田文也 三好久美子
委員:山坂淑子 野村純孝 上田みどり 奥原祥司 青木暢之
以上、8名の方々でした。

以  上

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