(於 中国放送役員会議室)
第472回中国放送番組審議会は、3月25日(火)に開催されました。
はじめに、新委員長の選任と副委員長の選任が行われ、委員長に広島大学総合科学部教授で学部長、副学長を歴任された生和秀敏氏、副委員長に三好久美子氏が選ばれました。
生和新委員長は、放送番組に対して関心をもって見てきました。今後の放送の有り様など広く考えていかなくてはならない時代にあると思っています。委員の皆様のご協力をいただきながら番組審議会としてキチンと役割を果たしていきたいと考えておりますと挨拶しました。
続いて、4月からの番組編成についてラジオ・テレビから報告が行われました。
RCCラジオは、朝から夕方までがらりと変わります。改編率は過去最高の65,2%になります。大人のための青春ラジオをコンセプトに大型情報エンターテイメント番組「本名正憲のきょうもゴゴイチ」が月〜金午後の時間帯に登場する他、午前には「三度のメシより上野隆紘」と「究極のオバンざい世良洋子アワー」が融合して「平成ラジオごぜん様さま」に変わるなど、パーソナリティーの交代を含め大幅なリニューアルになると報告しました。
一方、テレビは視聴者意識も時代に伴って、変化してきました。特に北朝鮮、イラク情勢など激動する世界をリアルタイムで見ている視聴者の意識・要求が番組選択、局選択に明確に反映してきています。RCCとしても、この「視聴者の変化」を常に意識し、受け止めて編成・制作していく必要があります。自社制作番組に大きな変化はありませんが、夕方の情報番組「中村克洋のごじテレ」は広島の今を意識した情報を入れ込んで社会情報系の番組にしていきたい。土曜日昼前にRCCスポーツ&ニュースを新規に編成、カープやサンフレッチェを応援放送していきたい。ネット番組については、朝の番組のリニューアルと週の真中(火・水曜)を集中改編したこと、そしてドラマについては全枠新番組になったことなど報告しました。
続いて、今月の審議番組を視聴しました。
番組は、2月15日の午前11時から放送されたテレビ番組「新藤兼人・大林信彦 シネマ魂」です。番組は、昨年秋の新藤兼人さんの文化勲章受賞をきっかけに、広島出身の二人の映画監督 新藤さんと大林さんの対談番組を制作したものです。番組では、映画論では無く、二人の生き様に焦点を当てています。また、今回はじめてテレビ、ラジオ、新聞が一つの素材を同じ日に取り上げるメディアミックスという形をとりました。
<新藤兼人・大林信彦 シネマ魂 37分間>
視聴後、委員の方々から
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(A委員)
新藤さんの人間性や歴史がよく出ていて面白かった。しかし、残念ながらお話ばかりが長くて、ポイントとなるいい言葉がクローズアップされていなかった。もう少し二人の映画を織り込むなど違った手法でやっていれば、もっとクローズアップされたのかなと感じた。
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(B委員)
期待していたものとは違うと感じましたが、良かった点はセピアカラーから入って古いモノクロと色の変化が表現されていたところ。期待はずれだった点は、対談と思えなかったこと、これってインタビューではないのかとの思いが途中からした。対談の面白さは二人の間で言葉のキャッチボールがあることなのに、それが全くなかった。映像では、一人一人が出ている感じで物足りなかった。
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(C委員)
新藤!大林を食う!という感じがした。新藤監督は、長年シナリオを書き、芸術性の高い映画を撮ってこられた存在感というものがあった。大林さんにしてみれば、大先輩を相手に話がしにくかったのかもしれません。いずれにしても、玄人受けする対談ということになるのでしょうか。新藤監督から乙羽信子さんの話も出て、色々な映画のシーンが頭に浮かび面白かった。
映像を織り込んで作ればという指摘がありました。著作権の問題があり代表的な映画のシーンを挿入することが出来なかったのでしょうが、交渉次第では多分駄目々ばかりではなかったのではないか。
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(D委員)
大林さんも的確に短く自分の思いを語られていましたし、新藤さんが言われていることは、私も物作りをしていますのでそうだなという部分が多くありました。対談かどうかは別にして、中身は非常に良かった。
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(E委員)
45分間の対談番組を精神集中して観るのは大変な作業で、重みのある言葉を言ってもらっても正直疲れます。だからこそテレビはワンシーンでも映像を入れ込めば、見やすくなり、ホッと出来る時間が出来る。対談云々については、司会者は要らなかったのではないか。最初と最後だけあればいい。とはいえ重みのある対談で感動しました。
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(F委員)
良い番組を作られたと思います。中身については皆さん言われていますので特に触れませんが、良い言葉が端々に出てくる、それをスーパーにして出せばもっと分かり易かったでしょうし、今何について話しているというスーパーも出してくれれば良かったと思います。
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(G委員)
メディアミックスという形で新聞とテレビがはじめてやった訳ですが、お話を聞いていて活字と映像、どちらも中途半端だったのかなという感じがしていますが、実験としてはいい試みだったのではないかと思います。二人の映画はこれまで色々見てきましたが、言葉の重さについてはいろんな立場の方が聞いて、それぞれに解釈できて良い言葉だったのではないかと思います。新藤さんは、郷土の財産のような方だから、定点観測ではありませんが、映像と活字双方で記録として残していって欲しい。
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(H委員)
最後なので繰り返しになるかもしれませんが、企画のネライが良く分からない。新藤さんが主役なのか、新藤・大林の対談なのかが曖昧だったのではないでしょうか。
対談では個性と個性がぶつかりあって、触れ合ってそれぞれの個性が引き出されていくものです。お二人の場合は、対等な対談では格が違うし、その面では大林さんは、やはり遠慮されていたのではないか。
インタビュー番組に徹するなら、インタビュー技術に長けた人を立てて新藤さんの個性を引き出す手法を採られても良かったのではないか。内容的には、何故、そこまで苦労を承知で目指したのかというモチベーションの部分が伝わって来なかった。良い点は、乙羽さんについての言葉で「同志だから贈り物をしたい」は、想いが伝わる言葉だった。今では希薄になった「こだわり」だとか個性的で味のある話しが出てきたが、ちょっと出てくるのが遅かったという印象でした。
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(委員長)
こういう番組は、今後広島の財産として、アーカイブなどキチンと保存して行く必要があると思います。
同じ素材を使った新聞とテレビ・ラジオのメディアミックスは非常に画期的なことだと思います。今後の新しいメディアのあり様という点からも注目していきたい。
それでは、この1ヶ月間のRCCの放送についてご意見やご要望がありましたら発言下さい。
・やはり、イラク戦争です。TBSさんも柔軟に時間枠をとって放送していますよね。
・個人的な見解ですが、イラク戦争をリアルタイムで放送するのはいいとは思いますが、何か実況中継のような感じを受ける時があります。これを見ている子供たちが、戦争は危険なのだと捉えてくれれば良いが、当たり前だと感じたりしないか。そこがちょっと心配ではある。リアルタイムで放送することが、本当にニュースの重みなのか、重要性に根ざしたものなのか、難しい問題だと思いますが将来マスメディアが考えなくてはならない問題だと思います。
・戦争は悲惨だという思いが常に頭の隅にあるのだけれど、テレビの映像からは何も感じられない。まるでスポーツ放送でもやっているような感覚で、これで良いのかなと思います。
・アタック前とアタック後という切り口で破壊された建物や戦車の映像が映し出されるのだが、そこに人がいることが欠落している。
・野球やサッカーと同じ感覚で、戦争って大したことではないと思わせるとちょっと怖い。映像からは、どうも真実が見えない。 などのご意見ご感想をいただきました。
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(RCC)
TBSについていいますと、特派員を戦場には入れない方針をとっている。したがって現場の映像が少ない感じがあるかも知れませんが記者の安全を第一に考えています。アメリカの場合は、戦争映像を家庭の中に持ちこんで国威発揚に結び付けている。日本はその辺りをちゃんと見なくてはいけませんが、日本の放送は反戦運動など意識的にとり入れて放送しているなという感じはしています。いずれにしても、これはマスコミとして大きな総括がなされると考えています。
平成15年3月25日 中国放送番組審議会
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出席委員は
委員長:生和秀敏
副委員長:久保田文也 三好久美子
委員:野村純孝 久笠信雄 丸本たかし 清水恵 青木暢之 黒木義昭
以上9名 |
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