(於 中国放送役員会議室)
第471回中国放送番組審議会は2月25日(火)に開催されました。
審議番組は、2月9日(日)午後4時から放送された民教協のラジオ番組で「思わず手が出そうになったら〜子どもと一緒に泣けばいい」という全国31局をネットした1時間番組です。
番組の内容は、2001年、全国の児童相談所に寄せられた児童虐待に関する相談件数が2万5千件に達し、4年前と比べて約6倍に増え、中でも目立つのが、虐待をしているのは6割以上が実の母親だということ。児童虐待とは何か。今、母親が置かれている子育ての環境はどうなっているのか。
児童虐待を発見した場合はどうすればいいのか。自分が虐待しそうな時はどうすればいいのか。そして、母親のSOSを回りの人達はどのようにキャッチすればいいのか。母親の悩みを共有できるような子育ての環境を作れるように一緒に考えようというものです。
番組視聴後、委員の方々からは、
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番組を聴いて、日本もそこまできたのか。現実に身近で起きていることなのだと感じた。この番組は対症療法的な観点から作られたということですから、その意味では事例も出てきて企画の目的は達成されたと思います。ただ、再現のところで出てきたが、単に母親が多忙で、ひとりで背負い込んでいるから。或いは核家族化が進んだからなのか、私は戦後生まれで母親は忙しくしていたし核家族だった。しかしこのような問題は余り起きなかった。最近になって児童虐待が増えた背景は何なのか。事例の中で出てきた「産まなければ良かった」という酷い言動などは、教育も含めた社会的問題・人間性の問題で現代社会の病理にも目を向けなければいけないのかと思わせた。
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全般的には色んなケースや相談の仕方が盛り込まれていて良かったのかなあと思う。
ただSOSを出したらこうというふうに、はなから結論があったような気がして若干パターン化していたかな。もう少し母親の在り方に焦点を絞った方が良かったのではないか。
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娘に聞いて欲しい番組だと感じた。子育ての悩みは、親に電話して相談するケースが多いのだろうが、中々そうもいかない。最近では、ひとりで子育てしていて不安になるとインターネットで同じような仲間と相談するようだが、この問題は紙一重で大変なことになる可能性があるので、もっと取上げてもらいたい。
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私も母子家庭といわれる生活を送ってきたので、妻に感謝しなければいけないと思いながら聴いた。私は団塊の世代のはしりだけれど、社会的に何があったのか。その子ども達はひょっとすると我慢することを知らないで育ってきたのではないか。今後益々このような社会現象は起こってくるのではないかと思います。反省もし感動もしながら聞きましたが、RCCも引き続き頑張って取材・放送をして下さい。
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番組としては良かったのではないかと思います。子どもの虐待は、世界的には有史以来起こってきた。日本では1960年から出て来て1990年頃から社会的な問題になってきたということですが、50年代になかったのかといえばあったと思うんです。それをどうやって解決してきたのか。このような番組がクローズアップされるようになったのはどうしてなのかと思います。虐待については、偏見かも知れませんが家庭環境なのかなと思います。ドラスティックに切り捨ててはいけませんが、親御さんの家庭環境を調べれば或いは解決法が分かるのではないかと思います。
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男性諸君は、非常に甘い点をつけておられる。半分しか実態が出ていないと思う。それは、作品の中に全く父親が出て来ていないことです。これ自体おかしいと思います。母親に焦点を当てたいのでしょうが、必ず子育ては家族から出発するんです。
家族の在り方の反映が子育てにでるし、夫婦関係がそのまま子育てに出るんです。
子どもの虐待についてもどこまでが虐待なのか、言葉の虐待と身体の虐待は違うことをキチンと捉えて欲しい。親は、愛という漠然とした形にならないところから出発している。家族愛というものについて触れて欲しかった。母親自体が大人になっていない、半分子どもというところがあったりする。子どもを育てることで、自分も育てられているんだというところを出してほしかった。甘えの日本の構造がそのまま出ていて、番組自体ボケてしまっている。一緒に泣けばいいで終わっている。もう少し子育てに対する積極的な面、子育ては楽しいとの充実感を示してくれるような味付けが欲しかった。
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私の家も母子家庭のようなものですが、問題なく育ってくれたので、虐待とか体罰の問題は自分にとって身近な問題ではない。で余り関心が持てなかった。番組を聴いて気になったのは、ナレーターやインタビュアーの問題で、由紀さおりさんはアナウンサーではないのに柔らかくいい感じで聞けた。一方、緒方かな子さんはラジオのインタビュアーとしてはどうなんでしょうか。ちょっと合っていなかったように感じた。それと広島弁を出しすぎるというのも、全国放送ではどうなのでしょうか。
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ディレクターの最初の説明では、虐待は母親だけの問題ではない。母親にも聞いて欲しいけれど、周りの人にも気付いて欲しいといわれたが、この番組からはどこに気付いて欲しいのか全然見えて来ない。それは、基本的に子どもは母親が育てるものとの立場で全てが運ばれているからで、そこからして違っている。
「思わず手が出そうになったら一緒に泣けばいい」というタイトルは、抱けばいいというなら分かるけれど泣くというのは違うと思います。レポート番組にするならレポートに徹するところが欲しい。ひかり園やキャップ、ホットラインなど情報の収集は出来ているのだから、聞いている人がもし今から行こうとした時に行ける情報提供をしっかりとした方がいい。これでは、身近な問題ではない人には遠い問題で終わってしまう。他方、ここに近い人は甘やかしてしまう。私だけじゃない皆やっていると思わせるとしたら、番組の狙いとは反対のことになってしまう。ひとりの人間として虐待はしない。男も女も、ひとりの人間としてどう生きて行かなくてはいけないのかがもっと伝わったら良かったのではないでしょうか。
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真面目に取上げた番組だったと思います。母親から甘く育てられた男性の立場から番組を聞くと、あの母親はどうなっているんだと感じ、番組の方向も若干そのようなところが出ていると女性には取られるのではないかと思いました。将に女性からはその点を厳しく指摘されていると思います。子どもの教育や子育ては本来家庭の問題で、それを女性や母親の問題に帰している。その点はその通りだと思います。子どもを育てる姿勢も含めて男性の責任回避と言われれば厳しいけれどその通りだと認めざるを得ない。私は、このような事件を聞くたびに、同じような背景の事件はこの数十倍いや何百、何千とあるのだろうと思います。
その意味で、このような番組は時宜を得ているし、さらに追求されるべきテーマだと思います。こうした現象には社会的な背景があると考えます。ですから社会問題としてキチッと捉える必要があるように思います。根源は深いので継続して取材・放送して欲しいと思います。
この1ヶ月間のRCCの放送については、
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ひとつ良かったなという番組がありました。それは、新藤監督と大林監督の対談番組ですが、為になったし勉強になった。永六輔氏がテレビの可能性はドキュメントだと書いていたがあのような番組を増やしてもらいたい。
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先日、大野町のカキで食中毒のニュースがあったが、生食用なのか加熱用なのか
はっきりとニュースの中に出してもらいたい。RCCのニュースは見ていないのだ
が・・・・・
などのご意見を頂きました。
平成15年2月25日 中国放送番組審議会
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出席委員は
上田良文委員長 三好久美子 野村純孝
山坂淑子 上田みどり 青木暢之 清水恵
奥原祥司 黒木義昭 以上9名 |
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