第470回中国放送番組審議会の審議の概要

(於 中国放送役員会議室)

平成15年最初の第470回中国放送番組審議会は、1月28日に開催されました。
審議番組は、昨年12月23日に放送したドキュメンタリー作品「孤高のランナー清水康次」です。内容はマラソンランナー清水康次選手が、リストラにより解散に追い込まれた陸上部のシンボル選手として残留が決まり、釜山アジア大会を目指して一人で練習に励む姿を半年間に渡り密着取材したものです。
番組視聴後、委員の皆さんからは次のようなご意見・感想を頂きました。

  • 孤高のランナーと来れば、もう少しドラマチックで何かあるのかと思わせた割には穏やかな進行だった。企業スポーツの在り方については、余り描けていなかったように感じた。


  • 視聴率的にはどうだったのか分かりませんが、良い番組だと思った。ただ、清水選手が電車やトラックの影になって見えなくなる映像が気になったのと字幕が出たり出なかったりしたが何故なのかなと思った。


  • 番組としては良かったと思います。ただ何を視聴者に訴えたかったのか?感動を与えたかった。広島にこのような素晴らしい選手がいることをアピールしたかったとすれば、それは達成されている。ひとつ孤高というタイトルと内容とがどうなのかなという感じがした。


  • 理屈抜きで、感覚的にピッタリと受けとめることが出来た。まず、絵と音が心地良かった。映像はテンポ良くまとめられている上に季節の花がさりげなく盛り込まれていた。画面に出る文字も長いものと短いものと区別して流していたのでキーワードを確認することができた。ただ、奥さん奥さんと本人が言うのはいいが、男女協同参画社会が言われている折、マスコミの果たす役割として如何なものでしょうか。せめて「妻 みどり」位にして欲しい。


  • 素晴らしい番組だと思います。現在のような経済状況の中で企業スポーツを維持していくのは厳しい。日本のスポーツも早くコミュニティースポーツに変わらなくてはいけないと思います。
    清水選手は、マネージメントも自分でやりながら、仕事とスポーツを両立させており素晴らしい。その辺りの背景が表現されていればスポーツ関係者や視聴者にこのランナーの生き様がもっと伝わったのではないか。
    いずれにしても、よく2人が取材に応じてくれたし、よく追いかけて取材されたと思います。ただ2人の自宅は映さないプライバシーに対する配慮が欲しい。


  • 問題提起番組ではない。広島出身の有力選手のヒューマンストーリーであると理解すれば良かったのかなと思います。作り方も大袈裟ではなく抑制した描き方をしているのが最後まで見させた要因ではないか。アマチュアスポーツの問題は、別の機会に深く掘り下げた番組を作ればと思います。


  • 一番感動したのは、奥さんである麓みどりさんが陸上競技場のスタンドに立った時に涙されたこと、普通あそこはニコッと笑って最後に涙すると思うのだが、あそこで泣かれたことで二人の夫婦愛を描くことには成功した。
    ひっかかったことは、ヒザの痛みを抱えていたのが急に治ったように思わせる作りになっていた。最初から見ていれば分かるかもしれないが、途中から見た人には説明が欲しかった。いずれにしても感動したし面白い番組でした。


  • 私は、昨年末放送で見ましたが、非常に面白かった。
    最もオーソドックスな番組作りをされたのが良かったのではないか。声高なスポコンでもなく、淡々とした構成で映像の美しさと音楽のバランスが良かった。
    登場する人物がひとつ抑え気味な人達で、それだけに余韻が深くなっていた。
    地方の局でもやれば出来るじゃないかと思わせた。それから孤高という言葉ですが、 これは、掴みですからちょっと見てやろうかなと思わせる。それほど神経質になる必要は無いように思います。


  • 朝10時の放送であれば子供も見られる時間帯なので、彼が言った「自分の為に走った。でも周りの人達の支えがあって走ることが出来た」とのメッセージは伝わったと思いますし、若い子供達に見せたら良いと感じた。全体的には、広島らしい甘さの構造になっている。番組の終わりが子供の誕生で良かった良かった。銀で良いのか金狙わないのか?そこら辺りの突っ込みがない。少し厳しさが足りない広島を象徴しているのかなと感じた。


  • 感動のドラマではあるがアスリートの番組としてはどうなのかな。途中トレイニング風景は出てくるが、清水選手が何に目標を置いているのか。何分で走りたいのか。今の状態はどうなのか。アスリートは記録への挑戦なのだからその辺りをキチッと描いて欲しかった。中高校生達が番組を見て、マラソンをやりたいと思ったかどうか。これから世界大会にも出場する可能性が高い選手なのだから、自分の記録に対する挑戦の姿をもう少し描いて欲しい。


  • 確かに、清水選手のパーソナリティーや夫婦愛、周りの支えなど自然に展開していて、ドキュメンタリーとして感動は与えられる。しかし、わざわざ孤高のランナーと銘打っているからには、清水選手自身が何を求めているのか?その辺りの表現がちょっと弱いと感じた。


  • 孤高というタイトルで良いのではないかと率直に思います。内容的には、自然体の中で無理がないし、主張がないのが却って良かったのではないでしょうか。あの人の性格かもしれませんが、淡々と行くのもいいのでは。とにかく家族愛を感じた、競技場でのスタート前の奥さんの涙は感動を呼んだ。ただ、最後にもう一つ赤ちゃん誕生のシーン!あそこはナレーションで語るくらいにしておいたほうがもっと良かったのではないかと感じた。全体的には、素晴らしい番組だった。


  • 競技場の場面、スタート前に奥さんがなくシーン!あの表現で全てを語っているのだろうと思います。釜山アジア大会へ行くまでの苦労とか練習量は満足出来るものがあり、走る前に万全の体制で臨むことが出来たとの満足感があったのでしょう。あれで清水選手が目指しているものは表現されていると思いますが、清水選手のアンビションがどうだったのか見ている分には解り難いところがあった。


平成15年1月28日
中国放送番組審議会
出席委員は
上田良文委員長をはじめ、久保田文也 三好久美子 野村純孝 山坂淑子
久笠信雄 上田みどり 丸本たかし 青木暢之 清水恵 奥原祥司 黒木義昭
以上全委員

以  上

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